愛国の右翼と左翼の日々

極右大学院生と極左大学生の勉強の軌跡

#1 「いだてん不人気言説」に見る批評精神の重要性

大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」は、日本初のオリンピック出場選手の一人、金栗四三東京オリンピック招致の立役者である田畑政治ら近代日本スポーツの発展に寄与した人物たちに注目し、日本人とオリンピックとの関わりを描いたものである。

 

❝鬼才❞宮藤官九郎の脚本と豪華で個性的なキャストの顔ぶれが注目されているが、大河ドラマの前例をことごとく覆す作風で戸惑う大河ファン(というか年寄り)が多いらしく、視聴率の低下が叫ばれている。

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本作に登場する東京高等師範学校は僕の通う筑波大学の前身校の一つであり、主人公である金栗四三はいわば先輩にあたる。
「同窓会研究」をテーマとする僕としては見ないわけにはいかない。

といったきっかけでスタートから観始めているが、内容は非常に作り込まれていて見応えがあり、何より近代の日本スポーツを取り巻く環境がどうなっていたのかを理解する上で大いに助けになる。

2020東京オリンピック以前と以後では日本のスポーツ界にも大きな変化が訪れるだろうし、変化を起こしたいと思っている人間はあらゆる分野に存在するだろう。

部活動問題や日大アメフト事件、奈良判定事件など、古き悪しきスポーツ界の弊害が露呈し、新たな時代のスポーツのあり方が模索されている。

こうした中で、2020東京五輪を一つのきっかけとして、日本のスポーツについて「決算」しておくのは重要な機会だと思う。もちろんこの盛り上がりが「フィルター」となり、色々なものを見えなくしていく危険性はあるが、そのあたりを拾っていくのが今後スポーツに関わる研究者たちに課せられた使命だろう。

偉そうなことを言っているが、こうした造り手の意図や今この時代にこの作品が放映されていることの意味を考える上で、だから批評精神というものを鍛えなければいけないのだと痛感する。

我らが先輩方のライフヒストリーを描くドラマにも関わらず、「いだてん」を観ていないという人がOBOGの中にも多く存在する。理由を聞けば「時代が行ったり来たりしてわかりにくい」(それはドラマの1話1話がじっくりと観ないとわからない作りになっているからで、作品としての完成度を高めるためのテクニックだからで、自分の頭が悪いのを作品のせいにしてはいけない)とか、或いは観てないくせに「視聴率が低い」という話題だけはやたらに知っている。
(そもそも皆が皆リアルタイムでドラマを見る時代ではないのだから「視聴率」で作品の優劣を測るのがおかしい。ラジオすらタイムシフトで聴ける始末である。)
高い視聴率を獲得する番組が多くの人に受け入れられるという意味で良い番組なのはわかるが、低視聴率=ダメ番組、とはならない。いつまでドリフやトレンディードラマの時代の軸で番組を判断しているんだ。

 

この「批評の目」というのもこのブログを書く上での一つのテーマとしたい。
いだてんが無事「完走」した時、もう少しまともな目で作品の全体像を掴めるようになっていれば幸いである。

 

極右